調停や裁判における親権者を定める基準
このサイトでは親権を定める基準は5つあって・・・などという通り一遍のことではなく、経験に基づいた具体的見通しを申し上げたいと思います。
親権についてご相談をいただくケースの多くがお母さんがお子さんを連れて別居されているという状況です。
その場合、基本的に母親が親権者と指定されるでしょうという見通しを申し上げます。
基本的にというのは例外があるからで、一つは母親の養育状況が子の福祉に反する場合です。
しかし、これは母親が弁護士に依頼して親権を争おうという場合にあまり見ないケースだと思います。
相手方はこじつけでも主張してくる場合がありますが・・・
もう一つはお子さん自身がお父さんと暮らしたいと言う場合です。
お子さんがそう言われる理由は単純にお父さんの方が好きだとか、母親の別居先が遠い場合元々住んでいたところの友達と離れたくないとかいろいろだと思いますが、最近の裁判所は結構お子さん本人の意見を重視するという印象を持っています。
昔は小さいお子さんだと判断能力がどうなのかと言われましたが、今は5歳ぐらいのお子さんの意見でも重視される感じです。
さすがに4歳ぐらいまでだと微妙かもしれませんが・・・
従って、別居の際にお子さんの意向を十分考える必要があります。子供の言うことだから、と考えず、本人にとって何が大事で変えたくないところか、別居に当たってそれに対してどのようにケアしていけるのか、を考えるべきだと思います。
よくネットとかに書いてあることで当てにならないのは母性優先ときょうだいは一緒という原則だと思います。
母性は最近3歳ぐらいまでしか通用しないと思います。裁判所の考え方は良くも悪くも男女平等になってきています。
大きなお子さんで持ち出しても裁判官に一蹴される感じです。
きょうだいの親権者が別々という結論は結構あります。
お子さんの希望が別れることが前提ですが、裁判所はむしろその方が落ち着きがよいのではないかと考えている節もあって、きょうだいだから一緒という考えはもはやないと思います。
よく気にされるのが、専業主婦をやっていて収入がないが大丈夫か、ということです。
現実に経済的にお子さんをちゃんと育てられないということであれば問題になりますが、実家に帰っているとかできちんと生活できているなら収入差は基本的に問題になりません。収入差は養育費で補填するというのが法の建前です。
他方、お子さんと別居している場合、簡単ではないという見通しを申し上げます。
国家が現実に一緒に暮らしている親から引き離すという決定は裁判官は基本躊躇されます。
一つは別居の態様です。夫がお子さんと暮らしている状況になった経緯に違法性があるか、ということが問題になります。
また、親権は子の福祉を基準に考えるとすれば、相手方による養育が子の福祉に反するという主張を検討することになります。
もっとも、えてして親権を取りたい夫というのは仕事的熱心さで養育にも取り組む場合が多いです。
ここでも決め手になるのはお子さん本人の意向です。お子さん本人がお母さんと暮らしたいと願っている、というのは裁判官としても理由にしやすいところがあります。
もちろん単にお子さんが言っているというだけで親権が取れるとはなりませんが、お子さんが意に沿わない生活をしていることで福祉に反している事情を主張することになります。
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