先に最高裁から発表された新しい養育費・婚姻費用算定表ですが、算定表として使う分にはいままでと同じで簡易に養育費等の額を算出することができます。
この算定表には算定の基礎となる計算式があって、これを分かりやすくした表であるということになっています。
今回、算定表の改訂にあたっては、計算式の考え方自体には変更がなく、その中の計算要素を修正することで時代の変化に対応したといえます。
算定表が裁判所で採用されるようになったのは算出の簡易・迅速化の要請からですが、簡易・迅速化はときに公平・公正とは反する場合があります。
簡易・迅速に算定するために実質とかけ離れてくる部分はどうしてもあり、そこがこれまで批判されてきた部分でもありましたが、裁判所としてはそこは割り切って考えるということなのでしょう。これまで通り算定表がそのまま当てはまらないケース(双方が子どもを養育しているなど)や、厳密に額を算定したい場合、特別な事情がある場合、等はやはり計算式による必要があると思います。
変更点ですが、具体的には算定表の中の基礎収入割合と子どもの生活費指数を改訂しています。
基礎収入割合は年収の中から養育費等の支払いに充てるベースの収入を定めるための割合で、これまで基礎収入割合が収入に応じて給与所得者の場合34~42%の範囲で計算されていたものを、38~54%に、自営の場合同じく47~52%を48~61%に変更しました。
また、生活費指数については大人を100として14歳以下の子どもが55、15際以上の子どもが90となっていたのを14歳以下62、15歳以上85と変更しました。
そうすると、基礎収入が全体的に増えるので産出額は基本的に増えると思われますが、15歳以上の子どもがいる場合は生活費指数が下がりましたので、場合によってはさほど増えないこともあるかも知れません。
逆に14歳以下の子どもがいる場合には生活費指数が上がりましたので、一番増えるケースだといえると思います。
これを計算式にあてはめるためには、基礎収入割合が収入に応じてどの割合を適用するのかを確認する必要がありますが、そこは裁判所のホームページには掲載されていません。
司法研修所の報告をまとめた「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」に載っていますので、これにあてはめることになります。
基礎収入割合についても、基本はこれまでの手法を踏襲しており、給与所得、自営に分けて年収層別に割合を定めています。全般的にその割合を上げたという感じです。
手法としてはこれまでの使い方と変わらないと思いますので、これまで通り対応していきたいと思います。