日本の離婚制度は世界的に見て、離婚の成立に寛容だといわれているそうです。
協議であれば双方が合意すれば成立し、子供がいる場合の親権以外に決めなければならないことはないからです。
離婚をすると決めた場合、当然早く成立するに越したことはありません。
役所に届けを出すだけで済む協議離婚が一番簡単です。
しかし、弁護士にご相談になられる方は当事者間でそういった合意が成立しないから来られるわけです。
当事務所の取り扱い傾向では、圧倒的に離婚したい妻と離婚したくない夫という組み合わせが多く、その逆はまれであるといえると思いますが、離婚したくない夫には経済的合理性を超えた感情の問題がある場合が多く、受け入れる気持ちになかなかならない場合もあります。
そのような場合、裁判所で調停を行い、調停委員や審判官(裁判官)といった中立的第三者に言いたいことを言ってもらい、だからどうなるかということを説明してもらうというのも納得のプロセスとして有効なのではないかと私は思います。
離婚を取り扱う弁護士の中でも方針は様々なのですが、中には相手方を説得して早く協議離婚に持ち込むのがベストです、と言われる弁護士もおられると思います。
それはそれで、一つの方針だと思いますので、そのような方針に合う方が依頼されればよいのだと思いますが、仮にそれでまとまっても、「妻の弁護士に言いくるめられた」という気持ちが相手方に残るとすれば、将来に禍根を残すこともあるのではないかと思います。
将来離婚するつもりで結婚する人は基本的にいないと思いますから、離婚というのはどのような経過であれ、一方の人生設計を他方の申し出で変更させられるという手続きにほかならないわけです。
そうであれば、受け入れにある程度の時間がかかるというのはむしろ当然ではないかと思います。
そして、ある程度の時間をかけ、相手も納得した上で離婚が成立した方が、離婚後に相手がストーカー化したり紛争を蒸し返したりするというようなトラブルを避けられるのではないかと思います。
当事務所の取り扱い例でいうと受任してから半年から1年程度で離婚が成立する場合が最も多く、1年を超える場合もありますが、2年以上かかるケースはまれだと思います。
(手続きの期間は財産分与の有無や親権に争いがあるか等、争点によって大きく左右されます)
離婚事件というのは最終的に離婚するという結論はほとんど変わりません。
弁護士に離婚を依頼したのにやっぱり思い直してやり直すということは、漫画の世界ではありますが、実務ではほとんど出会わないケースだと思います。
最終的にはそうなるのであれば、そのプロセスにはある程度時間をかけても、長い目で見ればよい結果が得られる場合が多いのではないかと私は考えています。